以下の文は、NPO小諸いずみ会会報2005年12月号より
「いのちの家」所長の、川崎経子先生の文章を、御本人に
直接お会いし、許可を得て、掲載しております。






 もう十数年も前のこと、統一協会が霊感商法や献金強要のために
全国的にマニュアル化して用いられていた有名な因縁話に「吉展ちゃんトーク」
というのがありました。幼な子吉展ちゃんが、全く関係ない行きずりの
男に誘拐され、殺され、死体を遺棄された事件は、平和だった当時の
世間を震撼させました。

統一協会の幹部達は、ショッキングな事件であればそれだけ因縁話の
強力な武器になると思ったようです。この因縁トークが全国的に
使われているのをみると、経済担当の幹部の手になるものでしょう。
”人の不幸を喰いものにする”とはこのことです。トークの内容は次の
ようなものです。

「吉展ちゃんが犯人小原保に殺されたのは深い因縁がある、吉展ちゃんの
先祖も、小原保の先祖も福島県石川村の住人だった。ある干ばつの年、
村の中で田の水引争いが起こり、両社は敵と味方に分かれて争い、
ついに吉展ちゃんの七代前のご先祖が小原保の七代前のご先祖を
殺してしまう結果になった。この殺傷因縁が七代後の吉展ちゃんに
巡ってきて小原保に殺されたのである。因縁とは、このように恐ろしい働きを
するものである。この因縁は、朝日新聞の記者が現地で事件を丹念に
調べているうち判明したことである。」

朝日新聞の記者まで担ぎ出したのは、話に信憑性をもたせるためでしょう。
念が入っていあるというか、悪知恵というか、いやはや驚き入ります。
これが霊感商法の場で用いられていたわけですが、何しろトークする側も
この因縁話を信じ込んでいますし、お金を出させることが相手の救いに
繋がる道だと、本当に心の底から信じているわけです。だからトークには
彼らのありったけの熱意を注ぎます。自然にトークには熱が入り、トーカーの
目には時として涙が出てきます。当然にデッチ上げの因縁話はものすごい
パワーと迫真性をもって相手の心に迫ります。このようにして信者たちは、
相手に強い霊の強迫観念をたたき込んでいるわけですが、そればかりでは
ないのです。信者たちは、自分も自分の白熱した言葉に酔い、
この迫力と熱意で相手ばかりか自分も次第に霊の強迫観念のとりこに
なっていくという仕掛けになってしまっているのです。だから吉展ちゃんの
因縁話は、信者たちにとっても疑い得ない真実となっています。内部では
「嘘も100万回言えば真実になる」と言われていますが、こうした信者達の
様子を、冷めた目でよく観察した人の言葉でしょう。因縁話のトークと
いうのは、一石二鳥の働きをするものなのです。このような因縁話の
あと、さらに次のように言ってお金を出させるのです。

◇殺傷因縁(交通事故、手術、怪我、脳溢血)
◇財の因縁(倒産、盗難、家事、詐欺、癌)
◇色情因縁(離婚、未亡人、独身、子供ができない、長男が立たない、
      糖尿病、結核、婦人病、子宮癌、乳癌)

だから血(殺傷)と汗(財)と涙(色情)の結晶であるお金を
出して、これらの因縁から身を守るため物品を授からないと
大変なことが起こると脅かすのです。因縁を信じている信者たちに
してみれば、相手を救うために誠心誠意命がけで霊感商法を展開して
いるわけです。

けれどもちょっと考えてみましょう。この因縁話は常識では成り立たない
話ではないでしょうか。七代前のご先祖というと、直系だけで
128名ですね。この128名について正確に辿れる家があるでしょうか。
例えば由緒正しいといわれる皇室にしても、大正天皇のご生母は
明治天皇に仕えた女宮の一人柳原愛子さんで、生前に正二位の官位を
受けていたので、二位の局(つぼね)と呼ばれていた女性です。
現在の天皇の七代前の先祖を辿るには、宮家でも旧皇族でもない
柳原家の五代前のご先祖までさかのぼらなければなりません。
果たして可能でしょうか。まして東北の農村の一庶民の七代前128名
(直系だけで)が辿れる筈がありません。例えお寺に過去帳が
残っていたとしても、戒名、俗名、死没年月日が分かるだけです。
人物について知る術はないはずです。もし仮に七代前128名の
正確な人物像を物語る資料がきちんと存在していたら、こんな
いい加減なデッチ上げの因縁話は存在していないと思いませんか。

そして何よりも心を痛め、許せない憤りを感じるのは、この吉展ちゃん
トークが、可愛いわが子を失って悲嘆のどん底におられるご両親の
気持ちを踏みにじる冷酷極まりないむごい仕打ちであることです。
血も涙もある人間のやることではありません。そしてまた、
マインドコントロールにより霊界の強迫観念を背負いながら霊感商法に
従事している信者たちも、このような偽りのトークで脅かされて
多額のお金を巻き上げられた被害者の方々も、本当に気の毒であり、
憐れであると思わずにいられまsでん。

しかし、どう考えてみても、このような因縁話をつくり出すような
統一協会の幹部たちは、逆に非常に冷めていて、死者の名誉を
どんなに傷つけても、使者は自分たちに対して文句を言うことも、
祟ることもできないことをよくよく知っていると思いませんか。
そして死者に対する尊敬の念さえも持っていない人々のようですね。
彼らは吉展ちゃんの七代前までのご先祖を調べられる人は誰も
いないことを百も承知なのです。だからこそ、いいように、因縁を
つくり出して利用しているんですね。使者を利用するなんて
最低です。卑怯きわまりません。そして片方では口を拭って
「ご先祖さまのために」なんてよく言えると思います。

もし亜kんぶのひとりでもこの文章をお読みになりましたら
「吉展ちゃんの祖先が小原家の先祖を殺した」という動かない証拠を
是非私に提示してください。何しろ組織をあげて捏造し、全国的に
用いられていた有名な因縁話なのですから。もし動かぬ証拠が
ないなら統一協会は会長はじめ幹部一同揃って吉展ちゃんの
ご家族に正式に謝罪して当然です。

今もなお、いろいろの因縁話が用いられて多くの方々が、
サラ金からさえも借り入れまでをして霊感商法の物品を
買わされ、利息の悲鳴をあげています。
物質やお金で霊や魂が救える筈はありません。そのことをよくよく
心得ていて下さい。


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