以下の文は、NPO小諸いずみ会会報2005年3月号より
「いのちの家」所長の、川崎経子先生の文章を、御本人に
直接お会いし、許可を得て、掲載しております。






前回まで占いのインチキを暴く”占い見聞記”を書いてきました。
もし占いが当たるとなら、ほの暗い灯の下で寒そうに客待ち顔で
貧乏ゆすりをしている手相見の姿は忽ち消えるでしょう。
現代の風物詩の一つがなくなるのはちょっぴり淋しいことですが、
その代わり、世界各国の大学は競って「占い学部」を新設し、
羽織袴に長いひげをたくわえた元手相見の日本人教授が、
筮竹に天眼鏡を片手にキャンパス内を我が世の春とばかりに
闊歩しているなんて、想像するだけで痛快だと思いませんか。
しかし占いは数千年の歴史を持っていますが、これまでも
世界の注目をあびたことすらなく、今後も絶対にないでしょう。
 こう考えてくると「消滅せずに存在しつづけるものは真理だ」
などと考えないことです。部族伝承の民間信仰や どう考えても
頭をかしげたくなるようないかがわしい迷信まで、驚くほど古いものが、
特定の権力などに利用され保護されて生き残っている例も
数限りなくあります。真理も生き続けますが、多くの人々を
呪縛し、惑わし続けている「闇の力」も人の心に不安や悩みが
ある限り生き続けているのです。そのことを知らねばなりません。
 大昔に書かれた聖書の中に、その時代の闇の力に対する
警告として次のような言葉があります。
「どの霊も信じるのではなく、神から出た霊かどうか
 確かめなさい。偽預言者が大勢世に出てきているから
 です。(第1ヨハネ4;1)」
「わたしたちは未成年であったときに、世を支配する諸霊に
 奴隷として仕えてきました。しかし、時が満ちるに及んで・・
 (ガラテヤ4;3−4)」
「この自由を得させるために、キリストはわたしたちを自由の身
 にしてくださったのです。だから、しっかりしなさい。
 奴隷の軛に二度と繋がれてはなりません。
 (ガラテヤ5;1)」
闇の力は昔も今も変わらないのですね。

 占いはすべて、自分の運命を予知して、それによって幸運を
掴みたいという欲望から生み出されたものです。そして被創造物
としての人間の限界も分際もわきまえず、自分が神の秘密まで
知ったかのように思い上がり、愚かな思い込みと実感でもっとも
らしく構築されたものです。易学、八卦、八問道甲、気学、九星、
四柱推命、風水、印鑑相、墓相をはじめ、いわゆる自称霊能者
と称する人々の神懸帰神、霊感、神霊自動書記、鎮魂加持祈祷、
これらはすべて的中もしなければ、実現もしません。

 よく考えてみて下さい。例えば血液型の性格判断というものが
ありますね。何か科学的な臭いもします。しかしです。占いと同じなのです。
 人間の性格は多種多様です。ですからどういわれようと、当たらず
とも遠からずどころか、柔らかいオブラートに包めば、全部当たって
しまうのです。手品のタネを明かせばこういうことになります。
「あなたの血液型からして、あなたは相当感情的な人ですね。」と
言ったら角が立ちます。納得する人もいれば、憤慨する人もいる
かもしれません。ところが、「この血液型の人は、とても豊かで鋭い
感受性をお持ちです」といえば、A型であれ、B型、AB型、O型に
至るまで、殆どの人に的中するのです。大体、感情のない人間は
いませんし、誰にでも感情の起伏はあるからです。中には「私は
鈍感で、人の気持ちもわからないし、すべて合理的に判断するので
あまり感情を揺すぶられることもありません」と反論する人もいるかも
しれません。その時はすかさずに「あなたはそう思っておられるのでね。
でも自分でそう思い込んでおられるだけですよ。よーく考えて
ごらんなさい。ご自分で意識しないだけで、とても豊かな感情が
いつも働いていることに気ぢかれる筈です」と切り返します。
すると思い当たるものが出てきます。「そう言えば、私の音楽に
対する感受性は人並以上だ。私は音楽で他の人以上に心を
動かされ、慰めや勇気を与えている」と気づいたり、自分の感情
を抑えきれない程に激怒したことを思い出したりするものです。
また他人が見逃してしまう小さなことに深い感銘を受けるという
ような経験をすることもあります。そういうことを思い返してみると
今まで気づかなかったけれど、本当の自分は人一倍豊かな
感受性の持ち主だったのだと思えるようになります。
手相だって血液型だって同じです。
 もし、手相見に「あなたは積極的な性格ですね」と言われたと
します。「ウソバッカリ」と思います。けれど積極性と消極性は
同居しているのが人間です。「自分は取引など商売上のこと
になると消極的になってしまうが、交友関係では、旅行でも
飲み会でも、カラオケでも積極的じゃないか。元々の性格は
積極的なんだ」と思えばよいのです。遊ぶ時には積極的、
勉強には消極的という青少年は溢れるほどいます。
だから、どちらを言われても「当たった!」ということになります。
 人間は多様性をもっています。血液型性格診断にしても
占いにしても、言われたことの中に、自分の性格の中の
いくつか当たっていれば、当たっていると思ってしまうのです。
 今はあるかどうか知りませんが、40年位前、デパートに
占いコーナーがあり、“コンピューター占い”がありました。
そして300円だったか500円だったかの料金を入れ、名前
の画数や生年月日を入力すると、性格や将来のことが
該当箇所に○印のついた長い長い解答用紙となって出て
くる、そんな仕掛けの機械が置かれていました。
興味半分で、同じ名前、同じ生年月日で、連続2回
チャレンジしました。想像していたように、姓名判断や
生年月日の冒頭のあたりを除いて、2枚の解答の内容が
全く違っていました。一分も経たずに運命が逆転している
のです。要するに、同じ解答にならないよう、順列組み合わせ
で何十万でも違うものが出てくる仕掛けなのでしょう。でも、
そんな解答内容でも「私のこと、よく言い当ててる。だから
将来のことは当たるかもネ。どうしよう。」と真剣に悩む若者も
いるのです。罪つくりな話です。
 私たちに「当たっている」と思わせるトリックは次の三つです。
一つは『フリーサイズ』の効果です。どんな人にも当てはまる
ように解釈され易い曖昧な言い方をすれば効果てきめんです。
二つ目は『ラベリング』効果。「あなたはこうです」と決めることで
それが自分の性格だと自分で決めてしまうのです。
三つ目は『インプッティング』の効果です。性格分析や占いを
細部に至るまでそのまま自分の性格だと思い込んで、自分で
自分にインプットしていくのです。
 ある有名な女優さんがいました。すべてを言い当てる自称
霊能者の「先生」に心酔してしまい、毎朝その日の服装の色の
指示を仰いでいたといいます。傍目にはバカらしい限りですが、
幸運を呼ぶため、その日の服の色を決めてもらわないと
不安でたまらなくなるそうです。フリーサイズ効果でその気に
させられ、ラベルを貼られ、言われる通りを自分にインプット
させられ、いつの間にか操られる毎日の生活になっていた
のです。りっぱなマインドコントロールではありませんか。
ちなみに、その霊能者は詐欺罪で服役中です。
 「占いが当たった。性格診断が当たった」と思っておられる
皆さんは、ぜひこのあたりのところをもう一度、客観的に
考えて占いに対する正しい自分の評価を身につけて
下さい。

 さて、皆さんは藤田小女姫(こととめ)さんという有名な
霊能者をご存知でしょうか。彼女こそ、美人霊能者として
一世を風靡し、時の政財界の大物まで占った女性占い師
です。ところが1994年、ハワイで凶弾に倒れ、帰らぬ人と
なりました。彼女は結婚後3年で離婚(1964年)、
1968年には経営していた有楽町のサウナ風呂だったかの
お店が焼け、従業員3名が焼死しています。
そして最後に小女姫さん自身も凶弾で一命を失ったのです
が、彼女ばかりでなく、息子さんもまた殺ろされています。
彼女はそのどれもが占えなかったことになります。
「易者の身の上知らず」という諺もある通り、自分のことは
私情が入るからわからないのだ、という弁解は通じません。
彼女は自分のことはもちろんですが、夫となる人に離婚の相が
出ていたのにも気づかず結婚していますし、焼死した3名の
サウナ風呂の従業員の命のことはもちろん、愛する一人息子さんの
命のことさえ占えなかったのです。これは超有名霊能者に実際に
起こったことです。このこともよく考えて下さい。

 昨年はいろいろな災害の起きた年でした。中越地方の大地震と
豪雪、そしてインドネシア・スマトラ大津波等、地球規模の
未曾有の災害でありながら、このことを予見して発表した
霊能者など一人もいないのです。こんな時代にこそ世界のために
役立つ霊能者が一人もいないなんて、本当に情けなさ過ぎます。
 





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