以下の文は、NPO小諸いずみ会会報2004年3月号より
「いのちの家」所長の、川崎経子先生の文章を、御本人に
直接お会いし、許可を得て、掲載しております。







 前回手相を取り上げたところ、間髪を入れず
統一協会の手相を用いた違法な伝道と金集めへの
各地での取り組みについての情報が寄せられた。

 「『手相を見せて下さい』と呼びかけている人がいますが、
JRは全く関知していません」は渋谷駅の放送。もう少し強く
はっきり言ってほしい。

 赤羽駅周辺の活動は盛んで、2年前に日テレが統一協会の
手相による金集めの実態を放映した現場である。最近の一時期、
手相を用いて不法伝道をする統一協会を取り締まるために
警官が立っていたが、警官の姿が見えなくなると、また性懲りも
なく通行人に執拗に声をかけまくるという。

 吉祥寺駅周辺も相当の被害に悩まされたらしい。
ある商店会では「『手相を見せて下さい』と呼びかけ、
催眠療法で高額商品を買わされる悪質な被害が相次いで
います。声をかけられても立ち止まらないでください」という
徹底した放送を流しているという。催眠療法とマインド・コントロール
とは違うし、雑踏の中で放送は聞き取りにくいが、効果は
大きいらしい。被害絶滅のため、こうした取り組みはぜひ続けて
ほしいし、各地に拡がることを期待したい。

 繁華街の一角で、寒そうに貧乏ゆすりしながら、ほの暗い
灯火のもとで客を待つ手相見の姿は都会の風物詩の一つで
あるし、そこにふと運命を託してみたくなる庶民のささやかな
夢にまでケチをつける気は毛頭ないが、“当たるも八卦、
当たらぬも八卦”と昔から言われている。占いを信じる
あまり人生の方向を見誤ることのないように注意して頂きたい。

 もし手相が当たるというなら、統一協会は「時も宝も身も魂も
文鮮明教祖に尽くす忠実な人物」だけを手相で選んで
信者として育てればよい。そうしたら敗訴続きの“青春返せ裁判”や
“霊感商法損害賠償訴訟”もぐっと減り、統一協会は重い
肩の荷が下ろすことができる。
 もし手相があたるなら、小泉首相も自衛隊のイラク派遣に
当たり、幻の手相占い機ピンポンブー(前号で紹介)を
実用化させ、「一年間命と体に異常なし」の回答を得た
自衛隊員をイラクに派遣すればよい。苦しい国会答弁からも
免れ、国民も安心する。しかし手相は当たらない。平和憲法を
守り、派遣は慎むべきだ。
 
 さて今回は姓名判断について記そう。
 会社で執務中のA氏のところへ印鑑セールスマンが来た。
彼は姓名判断から口説き始める。静かに聞いているA氏が口を開いた。
 A その姓名判断はどうして当たると断言できるのですか?
 ― それはもう、古くからのものですし、統計によって証明されて
   いますから。
 A ほーぅ 初耳ですな。
 ― えゝ、しっかりした現代の統計調査に基づいていますから、
   大丈夫です。
 A 私は統計調査に関心があるのですが、いつ頃どういう団体が
   しらべたのですか?対象は何万人かの単位ですか。追跡調査の
   方法も知りたいものですね。
 ―  ‥‥‥
 A そのデータも見たいものだが、国会図書館にありますか?
 ― 今日はお仕事がお忙しそうなのでまたの機会にお邪魔します。
 セールスマン氏は、カタログ類を手早くカバンに入れ、一目散に
退散したそうである。
 占いは全てインチキ。占いを信じさせる言葉はいつも、数千年も
昔の古代中国の先人の知恵、統計調査の所産、宇宙の根本理念、
陰陽五行の原理に基づく、古代インドや古代エジプトから伝来した等々、
まことしやかである。しかし、ちょっと話すだけで必ずボロがすぐ出てくる
ものなのである。

 私にもこんな思い出がある。ワンマンで名高い吉田茂が首相だった
敗戦後の時代、同姓同名の男がコソ泥で逮捕された記事が、
朝日新聞の青鉛筆のコラムに載っていた。易者のコメントもあった
ようだが、同じ吉田茂でも、かくも違うかと思ったことだけ憶えている。
 易の歴史は古く、三千年前の五経の一つの易経に基づく
非科学的なもの。その中でつい最近、易の仲間入りした新参者が
姓名判断である。なぜなら日本に文字が伝来したのが1700年前。
当時、文字はごく少数の人々のものだった。庶民に姓が与えられたのは
明治4年(1871年)。それ以前にも、公家や武士は家柄を示す姓を
もっていたが、画数で占う姓名判断が存在したことを私は知らない。
もしその存在を示す古文書等をご存知の方は、ぜひ当方まで
お知らせ頂きたい。
 苗字は実にいい加減なもの。地方では部落全体が同じ姓
だったりする。土地の有力者が自分の影響力を誇示するために
同じ姓にした名残ではないのか。英米ではバーバー(床屋)、
カーペンター(大工)、キング(王)、アームストロング(強い腕)等
リアリティやロマンに富む苗字があるが、日本の苗字は無味乾燥、
大中小や上下に山川木野林原などを組み合わせたものだったり
する。短期間に大勢の住民に姓をつけねばならなかった役人が
窮余の一策だとしてもお粗末である。こうした姓名に運命を
左右する不思議な力がある筈もない。それにしてもA三画、
C一画、Oをゼロ画等々にして、外国人の名前だって占えるのに、
西欧には姓名判断がない。日本人はどうもこうも占いが
好きなのだろうか。
 くだらない想像だが、もし当たるなら役所の戸籍係の窓口に
画数のキーを押すだけの占い機を設置すればよい。結婚届け
提出前に2人の画数を押すと「金婚式まで2人は健在。
仕合わせです」とか「○年後、二人は離婚、考え直して下さい」の
表示が出る。運命線ピンポンブーも開発されれば、姓名判断
占い機を併用し、離婚の悲劇は皆無になるに違いない。
 ところで、もし姓名判断が当たるなら、私は文部省の
国語審議会を相手に障害賠償性請求の訴訟を起こさねば
ならないことに気づいた。私の名前の「経」の字は、命名された時の
漢字から当用漢字に変えられたために、二画少なくなっている。
国語審議会は私に断りなく、権力で私の名前の画数を変える
ことで、私の運命までも変えたことになるからだ。全国でも
60歳以上の半数の人かちが昔の煩雑な漢字から当用漢字に
変えられ、運命をもてあそばれた被害者である。現在も画数に
こだわり、名前を変えたり、当て字を使っている人は多いのに、
当用漢字に変えられた数多くの老年の方々が損害補償の訴訟を
起こさないのは不思議である。
 もし当用漢字ではなく、元々の漢字で占うのが正道なら、
昭和初期の辞書でも足りず、中国の百年位前の辞書を
取り寄せてもまだ足りないであろう。元々の漢字を見出す
作業は気が遠くなるほどの研鑽が必要とする。私は昭和の
初めの小学校で「体」は人に豊という旁を組合せた字して教わった。
塩という字も複雑だった。こんな煩わしい字画に通じている
易者がいるのだろうか。姓名判断がなんかウソッパチもいいところである。
あまりのバカらしさにズッコケながら筆が滑ってしまった。
 次回は方位方角についてお話しします。御意見のある方は
是非FAXをお願いします。 




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