以下の文は、NPO小諸いずみ会会報2006年9月号より
「いのちの家」所長の、川崎経子先生の文章を、御本人に
直接お会いし、許可を得て、掲載しております。






 
最近、古い資料の山の中から面白いカセットテープを発見。統一協会(以下UC)に
入信した息子と何とかUCの誤りに気づかせたい父親が話し合う中で、
原理講論にある「霊的存在と人間の結婚」があw台になった。説明不能に陥った息子は
、父親にUC側の教理に詳しい人に、電話で説明を求めて欲しい、
そしてテープにその答えを録音して聞かせて欲しい、と以来したその時のものだ。

原理では、エデンの園の物語を史実とする。そしてエバは禁断の実を食べたのではなく、
蛇=ルーシェルという天使長と性交して堕落し、以後人間の罪は性交を通して全人類に
拡がったとする。この人類が救われるためには、無原罪のメシア文鮮明による
祝福(集団結婚)によらねばならない。昔は文鮮明自ら女性を清め(性交して男性に
与えたと言われている。だから天使長とエバの性交が歴史上の事実でなければ
、祝福が無意味になるばかりでない。原理の教理はその根幹が崩れてしまうことになる。

ちなみに原理講論108頁には、ハッキリと次のように記されている。
「人間社会において地上人間たちと霊人たちがしばしば結婚生活をする例がある」
また父親が息子から手渡された『統一原理批判に答える―浅見定雄氏の非難を斬る』
(著者は広瀬昭という架空の人物だが、末尾の奥付にはYoshiaki Hiro=広義昭の実名がある
の100頁はもっと傑作な 説明が記されている。
「浅見氏はどうやら自分が体験していないことは一切信じないらしいが、これほど
独善的非科学的態度はないと言えよう。霊人と地上人との結婚生活については、
心霊科学を扱う分野では極めて常識的報告である。中国、インド、ギリシャ、ローマや
ヘブライの多くの書物もこの事実を報告している。霊と人間との間の性的関係は歴史上
常に起こってきたことである。」

いやはや!疑うことは不信であるというマインド・コントロールを施されているとはいえ、
一流国立大学の学生が、こんなことで大真面目に父親と議論を戦わすのである。
悲しいかな、これが何でも信じさせてしまうカルト宗教の現実である。 
マインド・コントロールの恐ろしさの一端でも垣間見てほしい。
息子から以来を受けた父親は統一協会本部に電話をする。受付の女性と30分以上も、
なぜ息子が直接でんわしないのかというやりとりのあとで、父親はやっと本題に入る糸口を掴む。

父親 質問の要点はですね、この『統一原理批判に答える』というそちら様の出された本の中に、
      霊人と人間の結婚があると言うことは、中国や印度、ギリシャ、ローマ、ヘブライの多くの
      書物も・・・・とありますでしょ。これらの書物の著者と題名をちょっと
      お知らせ頂けないでしょうか。

 ――『批判に答える』という本は手許にありませんし、そうですね、
      お答えできる方がすぐつかまればいいんですが・・・・。ちょっとお待ちください。
      散々待たされ、結局午後7時に再度電話をしてほしいと言われる。

父親 もしもしアズマ様hいらっしゃいますか?

 ――(鼻をつまんだような声で)こちら松涛本部と申します。そちら様はどちら様ですか?

父親 先程電話した田中と申します。7時に電話するお約束だったので・・・・。
      アズマさんっていらっしゃいますか?

 ――えーっ、こちらにはそういう名前の者はおりませんが・・・・。
      まずそちら様のお名前と住所をお教えください。
      執拗な家庭事情聴取を受けながら、父親はやっと件の本の内容を知りたいと
      切り出した。何回か保留のオルゴールで待たされた後、

 ――もしもし、著者の広瀬さんと連絡がとれたんですけど・・・・、
      会議中で・・・・それで広瀬さんが調べてお電話したいと言っているんですが・・・・。
      (声の調子が元に戻り、前に電話を受けたものと同一人物であることが歴然としてくる)

 父親 時間を指定してください。私がお電話します。

 ――いつ会議が終わるかわかりません。広瀬さんが自分でその内容を調べて、
      本の題名を列挙してお電話するそうです。

 父親 広瀬さんじゃなくては分からんのですか。

 ――ちょっと本人に聞いてきます。

 父親 だけどね・・・・広瀬さんだけしか分からんこともないでしょう。

 ――やはり本人じゃないと。

 父親 同じ本にですね(読み上げる)「そもそも他の教団の教理について
       述べる時は、ただ表面的に勝手に判断するのではなく、
       ・・・・その教団に確認するのが礼儀であるといえよう」と書いてありますよ。
      ですから、教団としてお答えくださってもいいんじゃないですか。そうしますと、
      広瀬さんただおひとりだけですか。私の息子は「教団から責任ある答えは得られなかった。
      『教団に問い合わせよ』と書いてあるのに、まことに無責任だ」という
      結論を伝えますけど・・・・よろしゅうございますか。

 ――そちらが今どこで話し合いをなさっておられるのか、
      息子さんを電話口に出して頂いて、そちらも誠意を示して下さい。

 父親 だけどネ、難しいことなら別ですよ。本には『きわめて常識的報告である』と
      あるでしょ。きわめて常識的だと公表されている教義ですから、
      広瀬さんでなければというのはおかしいですよ。私はすぐに
      「誰と誰のこういう題名の本です」と言って頂けると思っていました。
      どなたか多少でも教義に詳しい方はおられませんか。

 ――今おりません!それなら本部ではなく、息子さんの所属しておられる
      教会に問い合わせて下さい!

 父親 この本の「きわめて常識的なこと」でも著者じゃないと分からんのですか。
       それじゃ、教会に訪ねても、そこに著者はおらんでしょ。地区教会じゃな分からんですよ。

 ――じゃ会議中ですが、いつ終わるか著者本人に聞いてきます。

 こんな応答が1時間以上続き、「息子さん本人が松濤本部まで来れば教えてもよい」
などとも言い出し、父親は質問を諦めて、今度はビデオセンターに電話をする。

 父親 お宅のビデオセンターで原理を学んだ者の父親ですが、今、
       息子と話し合いをしていて、きわめて簡単なことですが、ちっと教えて頂きたいのですが。

 ――あー、あー、詳しいこと今、わかんないですよ。その本も手許にありませんし・・・・。

 父親 どなたか、教義に詳しい責任ある方いらっしゃいませんか。

しばらくオルゴールの保留音で待たされた後、電話口に出てきた責任者と称する人と、
本部教会の時と全く同じようなやりとりが長く続く。
その後で、びっくりする発言を聞くことになる。

 父親 きわめて常識的だったら、電話口で書物の名前をサッと言って頂けると
        思って電話したんですがね。駄目ですか!

 ――じゃあ丹波哲郎の『永遠なる霊の世界』。

 父親 ハア?(呆気にとられて)本には『中国や印度、ローマ、ギリシャ、
        ヘブライの多くの書物』とありますけど・・・・。

 ――『エジプトの死者の書』を読んでください。

 父親 ほぅー。その本は死んだ人が書いたとでも言うのですか。

 ――それは脳死体験のことが書いてあるんです。

 父親 ハア?それで霊と人間の性交が分かるんですか?はあー、分かりませんな。

 ――もう一つ、外国のオカルト映画にいいものがありました。

 父親 はあー?そんなものに科学的色彩があると・・・・?
        例えばですね。学会では認められているんでしょうか?
      ”霊が人間と同じように性交する”ってことが!

 ――どうでしょうね。学会がそこまで進歩しているか、わからないですよね。
      まあ、ご子息さんとよく研究してみてください。


 2時間に及ぶテープの要所要所だけを記してみた。書く私の方も、
あまりにこっけいすぎてバカらしくてウンザリであったが、お読み下さった皆様、
ありがとうございます。

 ここに出てくる『エジプトの死者の書』というのはエジプト第18王朝時代の古代の
記帳な葬儀文献から当時の神話や宗教思想を探求する極めて学術性の高い書物である。
従って脳死体験やオカルトの要素は全くない。ビデオセンターの責任者は、
本屋でこの本の背表紙だけを見て、何か勘違いをしたようである。
なお、田中氏のご子息はこのテープを聞き終わると同時に、統一協会からの
脱会を決意されたそうである。

 愚弄されるように扱われながらも誠実に対応した父親の愛情の勝利であった。 





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